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2010.10.31 紀州犬 ”いち”    

    
       最初に飼った紀州犬。27年前、自宅療養中に散歩のために購入した。
       何故紀州犬かといえば白い犬に魅力を感じていたからである。探すのに苦労した紀州犬。
       名前を「いち」とつけた。以後、「いち」の名前が受け継がれている。現在の「いち」は
       3代目の紀州犬で9歳になる。


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なぜ日本犬が好きかといえば、質実剛健、粗食に耐え、主人に絶対服従、耳が立ち凛とした姿がなんともいえないのである。日本犬は古武士の風格を持つている。無神経で耳の垂れ下がって、やたらベタベタする洋犬は好きになれない。着飾った室内犬を散歩させているのを見るとゾットする。家内は室内犬を飼いたがっているのだが、私の我侭を許してもらっている。


独身時代に狩猟をしていたのでポインターとアイヌ犬(北海道犬のことだが、当時アイヌ犬で宣伝していた。)を飼っていた。アイヌ犬は猪狩に使う目的だったが、その頃は赤軍派が暴れていたために猟銃の管理方法も厳しくなり、また、家内が妊娠した時でもあり殺生禁断のために狩猟は止めてしまった(猟銃は警察で廃銃にしてもらった。今思えば中古品として猟銃店に引き取ってもらえばよかった)。

二匹の犬を比較していると、食事のときにアイヌ犬は餌を舐めるように味わうように食べ、食器から漏れた餌まで食べる。ポインターは餌入れに頭を突っ込んでガツガツと食べ、餌を食器の外へばら撒いて食べてもそのままである。水溜りがあるとアイヌ犬は濡れないように避けて歩き、ポインターはジャブ・ジャブと平気で水の中を歩くのである。ポインターも可愛いのだが無神経極まりなし。

この「いち」は紀州犬としては温和であったが迫力のある犬だった。特別な時しか吠えないし、散歩中に他の犬と擦違っても無視、或るとき5匹ほどの野良犬に後をつきまとわれたが一言も発せず後ろをジロと睨んだら野良犬たちは尻尾を下げて退散してしまった。

一人で寂しく留守番をしていた子供が自分の部屋の外で音がするのでドアを開けると「いち」が座っていたという。
2階まで上がってきて様子を見にきたのである。優しい犬であった。逆に”いち”の方が寂しかったのか?

子供の好きな犬でもあった。塀から頭を出し外の様子を見るのが好きで何時も塀から首を出していた。通学路になっているので登校途中の小学生を見るのが好きで、小学生が頭を撫でても尻尾を振り上機嫌なのである。小学生の間で人気者(犬)で通学の行き帰りに「いち、いち」と呼ばれて可愛がられていた。子供にとっては塀が高いので玄関の豆柘植に足をのせて庭を覗くために豆柘植が駄目になったこともあった。

ただ、紀州犬は「一銃一狗」といわれ本来は猟犬で野生味の強い犬である。子供が飼っていたウサギや亀をかみ殺すは、庭に入ってきた蛇を口に咥えて振り回したりと本能を呼び起こすような出来事もあった。

紀州犬を飼うのは難しいといわれるのだが、この「いち」は紀州犬らしからぬ紀州犬であった。子供の成長期と重なり子供のいい遊び相手になってくれた。

昭和59年に我が家の一員となり12年間生活を共にし、家族に色んな思い出を残してくれた犬である。





徒然に浮世の憂さを戯言に。

三社祭り当家のときに仕出しを頼んだ店の主人は剣道の師範で30年前から子供達を集め剣道クラブを開いている(息子も参加していた)。
当時は30人あまりいたが、今は8人しかいないという。理由を聞くと親がサッカーとか野球をさせるためらしい。
昔は、竹刀と防具を持ってクラブに通う子供を見かけたが、今は見かけなくなっている。

30年前は親も参加してキャンプに行ったり、焼肉パーティーなどができたが、今は親も乗り気でなくできなくなっているという。
そして、今の子供は指導してもなかなか言うこと聞かないらしく扱いが難しいらしい。

そう言われてみると、この“いち”がいた頃の小学生は可愛らしかった。今の小学生は“いち”を怒らせて喜んでいる。注意をしてもそしらぬ顔。一日中庭で放し飼いにしていたのだが、今は夜だけガード犬として庭に放し、塀の内側に柵を作って子供に危険が及ばないようにしている。

Monster Parent に Monster Children を相手にしなければならない学校の先生も大変な仕事になった。過大な事務処理に加えて精神的にも疲れるだろう。

頭がガチガチの古い人間には、今の日本に欠けているのは社会規範・道徳教育だと思っている。子供に教育しても徒労に終る。情けないことだが親に社会規範・道徳を教えなければ、日本は益々荒れた国家になるのは確実だろう。



   
 
by kappa-999 | 2010-10-31 00:00 |   愛犬”いち”