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2008.03.21 短くて長い廊下




手術当日である。当然食事抜きである。トイレで浣腸をする。そして手術着に着替える。8:30にストレッチャーが病室に運ばれて寝かされる。逃げ出さない?ようにするためか鎮静剤の注射をされる。痛い注射である。手術室にいくまではストレッチャーの上に放置されたまま。手術着だけなので体が冷えてくる。

9:00に手術室受付に着くように病室を出る。手術室受付は各診療科の手術患者の乗ったストレッチャーでラッシュ状態。
受付で診療科と名前と手術の場所確認等が行われる。このころになると鎮静剤のために頭がぼんやりとしはじめてくる。手術室の看護師が<Kappaさんは左大腿骨頭ですね>と病棟看護師に言っているのが聞こえてくる。左は一月前にしたばかりなのでこれは冗談ではないと<右足、右足>と必死で叫んだ記憶がある。

確認が終るとオペ室担当の看護師に引き継がれ、手術室用のストレッチャーに乗せかえられて手術室に入る。ヒンヤリとした空気が漂う。手術棟は診療病棟の3階にあり長さは大体わかっているはずなのになかなか手術室に着かない。長い長い廊下を端から端まで運ばれていくように思えた。

自動ドアの開く音がして中に入る。ドアが閉まると空気が噴出してくる。無臭である。2、3分はいたのだろうか、もっとみじかかっただろうか・・・・・無菌室に入る前の消毒?。骨が一番細菌に対して弱いので無菌室で手術をすると研修医が言っていたのを思い出した。噴出していた空気が止まると手術室側のドアが開き中に入る。

 いよいよ始まる。

ストレッチャーの寝台の部分が手術台になっており、寝台をはずして手術室の中央に運ばれ固定される。固定が終ると手術着を脱がされる・・・というよりも剥ぎ取られる。
生まれたままの状態と空調のために寒いのこのうえなし。そして、淡い照明の中から急に明るい部屋に入ったために眩い。

“血圧計をつけます”、“点滴します”と手際よく作業は進んでいく。そして最後に麻酔医の出番になる。前回の麻酔は、鼻から麻酔薬を吸い込む方法だったが副作用が少しでたため今回は注射(管注)で行うようだ。麻酔医が“麻酔を始めます”といって点滴の管に麻酔液を入れたと同時に意識がなくなった。(鼻からのときは三つ数えたら意識がなくなった。)

2時間10分、無事に手術は終る。

ガチャガチャという手術室の整理の音が聞こえてきて意識がもどる。戻った瞬間、頭を斧で割られるような痛みが断続的に起こってくる。“痛い”、“痛い”と叫んだ。医師が時々私の顔を覗き込むのだが何もしてくれない。声に出ていなかったのだろう。口もパクパクしていなかったかもしれない。この鋭い痛みは断続的ではあるが病棟看護師に引き継がれるまで起こった。この痛みは一体なんだったのだろうかと今でも不思議に思うことがある。         

昭和61年8月1日の出来事。


2013.11.05 旧ブログより移記
   
    
    
by kappa-999 | 2008-03-21 00:00 | 病気