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2014.07.07 今日の一冊。小説「琉球処分」




徒然に浮世の憂さを戯言に(阿呆の戯言・独り言)。

おぼしきこと言はぬは、腹ふくるるわざなれば、
筆にまかせつつ、あぢきなきすさびにて、かつ破り捨つべきものなれば、
人の見るべきにもあらず。
         (徒然草19段)


琉球処分上下二冊を読み終える。
内国植民地化される北海道のアイヌについては「静かな大地」で。
その時に南の琉球王国はどうなったのか興味を持ち読んだ本。


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琉球処分(1872~79)が行われた時代と戦後の沖縄問題が二重写しになり一気に読む。
近代国家成立の過程(国家の統一の急務と国防)で
琉球民族もアイヌ民族も日本民族による差別と収奪に喘いできたのだろう。


沖縄の最初の悲劇は、1609年に薩摩藩の武力侵攻によって始まる。

明や清を宗主国として朝貢(冊封関係)していた琉球国は、薩摩藩に実効支配されることになる。
中継貿易によって栄えた琉球国の存在は鎖国下にあった薩摩藩にとっては美味しい国だったろう(黙許していた江戸幕府も)。

琉球国と中国との関係は、支配・被支配ではなく「恩恵的関係」だったが、
琉球国と薩摩藩との関係は、琉球国を独立国とみなしながらも「収奪的関係」にあったのが江戸時代の琉球なのだろう。
また身分制度の違う琉球(士農)の農民は二重に収奪され、幕藩体制下の農民(士農工商)より過酷な状態だったとも思う。


第二の悲劇の始まりは、明治政府によって日本の領土に編入されたことである(琉球処分)。

琉球処分(1872~79)、宮古島民遭難事件に端を発する台湾出兵(1874)、日清戦争(1894)、日露戦争(1904)、日中戦争(1937)、太平洋戦争(1941)へと帝国主義戦争(領土拡大)の道を走りだす。
そして、太平洋戦争により本土決戦の最前線の場としての沖縄は悲惨な戦場と化し、本土防衛の犠牲とされてしまった。


第三の悲劇は、冷戦構造下で地政学的位置によりアメリカ軍の基地が置かれてしまったこと。

日本に返還されたとはいえ、実質的には沖縄は未だにアメリカの占領下にあるのと同じで、
軍事基地としての沖縄の苦しみが現在まで続いている。
冷戦構造下、敗戦後の日本は安全保障をアメリカという用心棒にまかせるしか方法はなかったとはいえ、
その犠牲にされたのが沖縄だろう。


今も沖縄の一人当たり県民所得は最下位である。
高度成長期を経て経済大国になった日本だが、
日本政府は沖縄県の経済発展のために具体的になにをしてきたのだろうかと疑問に思う。


昭和20(1945)年6月6日夜、沖縄の海軍陸戦隊司令官大田実少将が海軍次官あてた電文の最後は
「本戦闘ノ末期ト沖縄島ハ実情形□一木一草焦土ト化セン糧食六月一杯ヲ支フルノミナリト謂フ沖縄県民斯ク戦ヘリ
県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」
と結ばれている。



2014.07.07 追記

もし、アメリカ大統領グラント?だったと記憶するのだが
彼の調停案などによるに沖縄の分島支配を日本と清国が合意していれば沖縄の歴史は変わっていただろうか・・・・・・・・・?

     
        分島・増約案による琉球分割案
        http://heiwa.yomitan.jp/4/3202.html


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21世紀の「琉球処分」
真実を知りたい牡丹社事件(宮古島民台湾遭難事件)と台湾出兵



普天間基地移転の問題で鳩山首相は窮地にたちルーピーなどといわれ貶められて失脚するが、
彼は日本の安全保障と沖縄の基地問題また抑止力とは何かを再考する機会を作り出した。
残念ながら彼の後を継いだカンナオトとそれに続くノダヨシヒコ政権はお粗末だった。

そして、改憲ではなく憲法を解釈で変更しようとする内閣を選んでしまった。
日本の安全を脅かす危険が増大しているからだというが、冷戦構造下での方が最っと危険な妄想に浸っていたのでは。
資本主義経済体制が社会主義経済体制にとってかわるという根本的な恐怖があった。
幸いな?ことにソ連という国が張り子の虎だったということ。  




阿呆は自分以外の人間はすべて阿呆だと思ってる。
通常人は自分は阿呆でないから通常だと思っている。
No medicine can cure folly. 


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by kappa-999 | 2014-07-07 19:04 | 今日の一冊@河童